先生紹介

Teacher
山本敦美
*元公立小学校教員、3児の母
*自主保育ねっこぼっこ(代表2018-2019)
*シュタイナーの会 山びこ(理事2019-)
*シュタイナー教育教員養成ファウンデーションコース 修了
*シュタイナー治療教育基礎コース 受講中
*すきなこと 山歩き、川遊び、笛を吹くこと
 
 20代の頃、教育や子育てに関わるなかで、子どもを取り巻く環境や子どもへの接し方に違和感をもつようになりました。大人や社会が「正解」をもっていて、それを子どもに身につけさせることを一生懸命しているように見えました。私も、そんな大人のひとりでした。
 公立小学校で勤めていた頃、特別な支援が必要なお子さんが私の担任するクラスへ入学してきました。黙って聞くことや席に座っていることが難しく、授業が中断することもしばしばありました。何とかしたいのにその術を知らない当時の私は、その子の絵やノートを握りしめて専門の先生を訪ねました。そこで教わったいくつかの方法をすぐにクラスで試すと、その子だけでなくクラスのみんなが落ち着いていったのです。その子がみんなと同じようにはできなくても温かい雰囲気で待つことができる仲間に育ち、自然とその子の笑顔も増えていきました。私は、支援方法を工夫するだけでこんなにも子どもたちが生き生きと変わっていくなんて、まるで魔法みたい!と感動し、それから子どもの発達や支援に関することを学び始めました。
 その数年後、子育てを通してシュタイナー教育に出会いました。何でも「はやい」ことを求められることが多いこの社会で、発達段階に沿った環境や授業が大切にされているこの教育に魅力を感じました。それは、あえて「ゆっくり」だったり、今はあえて教えなかったり、忘れることも大切な過程のひとつと考えられていたり。人が一生を通じてその人らしく生きるために「今」大切にすべきことは何かを、外から見える「できるようになったこと」だけでなく、内側にまで目を向けていこうとする教育です。
 さらに、シュタイナー教育を学ぶ中で、シュタイナー治療教育にも出会います。どの人にも共通する普遍的な成長だけでなく、ひとりひとりの発達をじっくりと見つめる方法がシュタイナー治療教育です。体つき、成育歴、行動などを見取り、その人に必要な要素を日常に取り入れます。子どもから大人までどんな人へもアプローチできます。私は数年間、家族にいろいろな方法を試してきました。食事にスパイスを加える、寝る前に全身をマッサージする、子どものための小さな空間を整える等、その人に必要な取り組みを続けました。すると、自分で怒りをコントロールできる、不安が少しずつやわらぐ、寝つきや目覚めがよくなる等の変化がありました。「○○しなさい」「自信をもって」と言葉で言うよりも、じんわりと奥深くからその人に働きかけていきます。
 私が準備する授業では、どの人にも共通する発達段階を基盤とし、ひとりひとりの子どもに必要な活動を組み込みます。その人らしさが個性としてよりよく現れるよう、そばでそっとお手伝いしていきたいです。