私は、公立小学校で働いたり我が子の子育てをしたりする中で、今のままの教育の在り方でいいのだろうかと考えるようになりました。今の社会は、サービスの受け手としてお金を払えば食べ物も服も遊びでさえも手に入ります。自分でゼロから作り出す必要がなく受け身の生活なので、目に見えるものに安心し幸せを感じます。子育てや教育の場でも、水泳・英語など「○○ができるようになります」とのうたい文句に大人は魅力を感じ安心します。こうした社会で育った子どもたちはどんな大人になるのか、我が子の子育てだけをしていていいのか、我が子が大人になったときに手を携えて社会を創っていくのは今の子どもたち同士だ…と、私自身さまざまな葛藤をしました。
そんな時、子育てを通してシュタイナー教育に出会います。7歳までは文字も数も教えない、子も親も温かく包み込むようなその教育に興味を抱き、専門的に学ぼうと2年間の教員養成へ通いました。コース修了の2019年春、学びの探究と実践の場をめざし『シュタイナーの会山びこ』を発足させました。
2021年度、学びを継続させつつ実践を重ねるため、『幼児クラス』を月2回、『初等クラス』月4回の頻度で開催しています。
『幼児クラス』は年長児と保護者が対象です。年長児は、学齢期への移行期として大事な時期です。このクラスでは、学びへと向かう力の土台づくりを意識して活動しています。具体的には、自分の足で歩くこと、仲間や温かく見守る大人たちに囲まれて自然の中で遊ぶことを繰り返し行っています。そして散歩の前後の集まりの中で、ひらがなや数の質をからだで感じる遊びを仕組んだり、仲間と息を合わせた時の心地よさを体験したりしています。
『初等クラス』は小学生対象、低学年クラスと高学年クラスの2クラスがあります。7-14歳までの子どもたちは、心をわくわくさせながら自分自身が世界と出会っていくことが大切です。そこで低学年クラスでは、昔話を聞いておじいさんの嬉しそうな様子を絵で描いたり、からだを動かしてお話を疑似体験したりしています。高学年クラスでは、イノシシについての話を聞いて実際にイノシシの足跡を探し歩き、学んだイノシシの特徴を粘土で形作るなどの活動をしています。
このように、ひとりひとりの子どもがその子らしく育つことを願い、発達段階に合った教育、ひとりひとりに合った教育を模索し活動しています。
#ふくやまシュタイナー学園